SSブログ

北京のある通りのGDP現象 [中国語学習]

一条小街的GDP现象

ある通りのGDP現象

梁晓声 (2017) 中国人的人性与人生 現代出版社 P63一条小街GDP现象

GDP.png GDP推移

 

私の住んでいる通りの向かいは店舗が軒を連ね隙間もないほどだ。通りの端から端までそんな状態だ。

15年前その通りの片側に建物群(マンション)が建ち売り出された、平方当り6400元だった。私が引っ越してきた当時、通りの向かいは20世紀80年代中後期に建てられた平べったい56階建てが何棟もあった。その窓はその街に面し、入口は裏側で、各建物の窓側には高さ1mの鉄柵がめぐらされていた。その当時通りと歩道は同じ高さで、両者の境界ははっきりしなかった。当時タクシーはそこまで入ってきたし、通りの両側を自家用車が長時間占有しているようなことはなかった。私たちのその地区には地下車庫があり、空いていることが多く、不動産屋はマンションの持ち主に地下駐車場を借りるか買ってほしいと考えていた。しかし地上の駐車場は賃貸料が安く、先を見て地下駐車場を買う人は少なかった。

当時通り両側には老木がたくさん植わっていて、静かだが、物を買うのは不便だった。

その後、何時のころからかはっきりしないが、だいたい三四年後だろうか、通りに一群の建物群(マンション)が建ち、平方当たり1万強にもかかわらず飛ぶように売れた。通りの人口は数倍になり人口密度が高くなった。それに伴い、通りの向かいの鉄柵は取り払われ、その一階の住人が部屋を住民以外に貸し店舗になった。

当時私は海淀区の地区代表で、将来の状況を予測し、関係部門にこの種の商用賃貸を制限するよう提案した。

しかしどういうわけかこの提案は採用されなかった。

それから僅か1年後一階はすべて店舗になった。近隣の三か所の高層建物群(マンション)からなる地区の入居率は100%になり、各区域で駐車場が足りなくなった。各区域や通りで駐車場のことで諍いが絶えず、夜中になってもどこからかののしり声、泣きわめく声、たすけを求める声が響きわたっていた。

2005年頃には、三環と四環の間にあるその通りは北京で最も汚い所の一つとなった。朝晩車の渋滞が当たり前になり、炎天下には悪臭が漂い、雨が降れば足元には真っ黒な水や油があふれていた。もし靴や靴下が濡れたら、石鹸で洗っても脂っこい足はきれいにならなかった。

私は「緊綳的小街」に当時のその通りの状況を書いた。

秀水市場.jpg

こみあう露店街

今、具体的に言えば十八大後、通りの状況はかなり良くなった。いくつかの古い建物は更新され、保温層が追加され、通りも2回舗装され、左右共に歩道ができた。老木は減り、年々新しい木が高く伸びている。

その通りの乱雑な所の改良工事費用は、当時各方面から集めたお金と税金の合計よりはるかに多かったと思う。当時中国のある地方の「野蛮な発展」と同じでその後それ以上の労力、物量とお金で処理せざるを得なかった。しかし少しでも管理を緩めると元のもくあみになった。実際その通りの半分はすでに元に戻ってしまった。

その当時の不動産価格は平方当たり6万元、一部屋120平方の三居室の仲介業者の標準価格は約750万元だった。簡単に売れたことから、購入者は大半が外部の人だった。三か所の高層住宅地区の住人の2/3は外部、1/3はここの人や戻ってきた人。しかし見たところ7-80%は外部の人だ。

北京のどこかかしこの通りのように、この通りの両側は朝から晩まで車でいっぱいだ。往々にして右側あるいは左側には2列縦隊駐車もある。幸いにも通りは一方通行になっているのが、それに従わない車がいて往々にしてふんづまりになることがある。

通りには店舗が多く、居住民にとっては買い物便利という利点がある。買い物便利というのは生活の重要な条件だ。ともに便利さ、安さを追求した貸し手借り手でもある住民はある一時期利益を得た。2003年当時のここの店の年間賃貸料は1.8-2万元で、外部の人が借りることで、貸主の生計を助けた、ある人はこのちょっとした商売で田舎に家を建てるか村に家を買った、そのようにして家賃が貸主の生活水準向上につながったことは言うまでもない。たまたま市が道路の野菜などの露店を駆逐した時、住民中のおばさん連中が怒り、小売りに味方した。彼らは安く便利でありさえすればよかった。それで通りがこんなも乱雑になった。

幸いなことに住民の主要部分は彼女たちだけではない。そうでなければ管理が民意に従うかどうか

いま小店の家賃は年10-12万元に、電気代5角は1.54元に値上がりした。

もちろん通りの店や、奥のスーパーのものもすべてつれて値上がりした。もし収入が増えなければ実際の生活水準は下がったと言える。

烧饼シャオピンは5角から1元。

煎饼卷2元から3,5,6元に。

油饼1元から2元に、或いは25角に(甘いもの)

おかず類の値上がりはあきらか

理髪は15元が20或いは25元、優待券使って20元か25元。

いくつかの店は行き詰った、マッサージ屋、洗濯屋、軽食菓子屋、雑貨屋などが店を閉めた。

少数向け或いは日常消費物資でないものを扱う店は基本的に永続きしなかった。しかし食堂、八百屋はしっかりと根を張っている。およそ食べると言う字にかかわる商売は、家賃高騰の負の面の影響を受けていない。床屋もそうだ。男性は一月に一回、女性は多くて年に2回なので、理髪店の値上がりには十分納得できる。しかしクリーニング店に対してはこうはいかない。クリーニング一件が当時の20元から今30-35元になったら多くの人は自宅の洗濯機で洗いたくなる。

やめたい人はどうぞ、大家には少しも危機感はない。やめて出ていくと数日後にはまた借り手が現れ、家賃が少し上がるのが普通だ。新しい借り手は大抵食べ物屋か、「(食べ物)に関連したものの店だ。

 通りの「」経済は一貫して盛んで、まさに民は食を以て天と為すだ

通りの両端にコピー屋、東の店はスピード写真、西はプラスティックや防水紙製の材料への看板印刷も兼業している、東は影響が少ないが、西は広告制作2015年比で1/3減っている。看板はすべて店舗需要なので、新規開業が理髪店ではなく食料品にかかわらない店だけとすれば、看板製作店の苦境は続くだろう。

秀水露店.jpg

 近くの翠微のような比較的大きな商店街でも似た状況だ。毎日店が開くとお客が殺到するが、2時間もするとお客が多いのは一階の食品街だけで、残りの宝飾化粧品売り場は極めて静かである。

 服売り場の2階、家電売り場の3階はお客の姿が見えず、販売員は手持ちぶさただ。この2,3年こんな状況だ。

 食べる、遊ぶ(旅行を含む)、次代養育費、自分の健康維持費用(医療費を含む)、 基本的に国民のこの四項目の消費が内需を牽引している。

 不動産と自動車産業もGDPを牽引するがこれは両刃の剣で、時に一時しのぎであることは多言を要しない。

 「広場舞」現象は、歌踊りの天下太平現象ではなく、下層民衆の心理的天下太平危機現象で、金をかけない健康維持方法である。

  映画興行収入が近年急速に増加している、これは娯楽消費を惜しまない風潮の現れか。

 海外旅行する中国人がよく海外で爆買い団と化していることに対し、愛国人を驚かせ大議論になっている、金持ちはなぜ国内で金を使わないのかと指弾。実際、中国人が国外で金を惜しまず消費するのは、外国品は高品質であるほか、国内品はコストパフォーマンスが悪い、さらに思う存分遊んだかどうかという心理が彼らを支配している。外国で何回か思いきり消費することで、そこでかっこよく遊んだ満足感が得られる。

 当然上述の「四項目基本内容」国家内需に貢献してもそれだけでは十分ではない。

何に頼ればいいのか?

私も思い浮かばない

人類社会の経済発展史を通して、大多数の国家の内需GDPはその実この「四項目基本内容」による。

先進国と発展国、後進国を比べると、差がある、前者は外国人による消費を画策し、うまくいっている。対するに後者は一時上手くいっても長続きしない。

ゆえに前者においては輸出外貨獲得がGDP増加の主要部で、内需は最低保証だ。

中国の輸出外貨獲得の黄金期は過ぎ去り、「今度はいつ来る」かわからず、すぐに来るとは思えない。

中国も内需をひっぱり出し、それで最低保障にする時代になったのだ。

いまおしなべて中国人の内需品質は全体として上述のようにとても低いが、幸いにも14億近くの人口で、これはとてつもなく多く、GDP増加の底部をある時期支えるのは問題ではないだろう。

我々の中国経済発展はこのような段階に来てしまった、それは早すぎる成長をどう抑制するかではなく、経済失速をいかに食い止めるかである。

もしこれから先三四年、我が国GDP増加指数が6%以下になっても私は驚かない。もし六七年後に徐々に5%に落ちても、長期安定していればがっかりしない。

これは世界経済発展史上特に重視すべき現象だからである。

私たち中国は高度成長の心地よさから目覚め、気持ちを切り替え、冷静にこの経済成長速度低下の事実に向き合い、できるだけこの速度低下を比較的長期にわたって安全な範囲に留めなければならない。

これが私の「新常態」の先走った解釈だが、自身少しも先走っているとは考えていない。

私たち中国の経済総量がアメリカを追い抜く目標がいつ実現するかというような考えはとりあえず保留しておこう。

比べて、追いつく、超えるなどのつく目標はいいが、しかし遠大な目標は保留し、現実の国民の問題を着実に解決するのが賢明だ。

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント